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お久しぶりです。生きてます。
なんとなく、今日は気分が乗ったので(笑)
今年は寒くなるのが例年より少し早いのかな?
でも、我が家はまだ炬燵の出番がない...そろそろとは、思っているんだけど。
aquilegia 本編です。
ニールが、ちょっと癖のある奴かもしれない。さわやか系ではありません。
ティエリアはお人形。
「彼」は、もちろん...俺がガンダムな主人公様です。
それでは、どうぞ
知らず知らずのうちに溜息をついていたらしい。
耳に心地よいとは言い難い、女の高めの声で名前を呼ばれ、ハッと我に返る。
目の前には、長い髪を真っ赤な爪をした手で気だるそうにかき上げる、甘い香りのする肢体があった。
「もう! 何か考え事!? 気乗りしないんだったら...」
ヒステリックな声音。表情は明らかに険を含んでいる。
俺は少し困ったような表情をして見せ、唇の端を歪めると、
「まあ、まあ、そんな怒りなさんな。せっかくの美人が台無しだぜ」
と、宥めの言葉を並べる。
徐々に相手の顔が緩み、うっすらと赤みが差してきた。
もう一息、と思い、投げ出すようにしがみ付いてきた体を受けとめながら、耳元でそっと名前を囁く。
「.......」
途端、弾かれたように豊満な体が離れ、次の瞬間には左の頬に鋭い痛みが走った。
平手打ちをくらったのだと気付くより先に、ベッド脇のソファーに投げ出されていた上着を乱暴に掴んだ後姿は、ドアの向こうに消えていた。捨て台詞を残して。
「女の名前を間違えるなんて、最低!」
これには言い訳できない。
今のは確かに、数多くいるGFの一人なのだが、はて、誰だったろう?
熱を持ち始めた頬をさすりながら、悔恨の情が過ったのはほんの一瞬で、すぐに冷え切った頭は別の事を考え始めた。
あまり手入れなどされていなそうな黒くて短いくせ毛。俯き加減の陰りのある顔立ちはそれでも整っていた。そして、こちらを真っ直ぐに見すえた赤い瞳と、真一文字に結ばれた唇。
彼は射抜くような鋭い視線を向け、値踏みをするかのように俺の全身を上から下まで見た。
やがて開かれた口から発せられた言葉は、見た目の年齢に反して妙に大人びた抑揚のないものだった。
「誰だ? ここは立ち入り禁止のはずだが...」
「ああ、わかっているよ。俺は、ただ...教授を忍びに隣の研究室に...」
「知り合いか?」
「まあ、世話になったよ...」
見た目の容貌からして、地球の中東と呼ばれる地域当たりの人種だろうか。
俺自身は宇宙生まれだが、両親は地球のヨーロッパと呼ばれる国の出身だった。
汚染され住みにくくなった地球を人類が見限り、新たな新天地を求めて移住を初めて半世紀以上が経つ。
今の子供達の中には、地球などという星を見たこともない、土を踏んだこともない者達も少なくない。
そうだ、自分だって一度だけ幼い頃に両親に連れられて遊びに行っただけだ。
教授は確か俺の両親と同じ文化圏の人間じゃなかったか。
なのに、こいつは。
「そうか。彼の死を悼んでくれたことには、感謝する」
だが、用が済んだらとっと出ていけ、と言外に告げられた気がした。
チラリと横を見やると、先ほどのお人形がお行儀よく椅子に座っているのが視界に映る。
そうだ、導かれるように部屋に踏み込んだ途端、行き成りコイツが何処からともなく現れたのだ。
「あの、さ...」
「まだ、何か?」
「いや、その...えーと。そのあんたは?」
「教授の身内、のようなもんだ。俺も、彼には世話になった」
なかなか立ち去ろうとしない俺に、彼は感情の籠らない声で淡々と必要最低限だけ答える。
無視されないだけマシか。
「その、お人形、さ...どうなるんだ?」
「どうにもならない。何時もどおり自宅に戻るだけだ。今日はお別れをしに来た」
「人形、だよな?」
「...娘だ」
誰の?とは、聞けなかった。彼の姿はあまりにも堂々としていて、迷いも疑いも微塵も感じられなかったからだった。
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基本はロックオン×ティエリア、甘くはないです。
更新はマイペース。気長にのんびり、大きなお心でお付き合い頂けると嬉しいです。