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ガンダムOOの二次創作(小説)サイトです。基本はロクティエ。迷い込まれた方は速やかに、回れ右!をお願いします。
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2話まとめて書く根性はなかった...(笑)
蒸し暑くて、なかなか寝付けないし、文章もまとまらないし。



猫話、18話。
とりあえず、お互い気づきました。
次回はラストです。


猫と真実

「遅くなってしまったな…」

バイトが終わり、ティエリアは店を出る。
右肩には大きめのバック、左手には大量のキャットフード。
夜道を歩きながら、ふと考えた。
待っているのだろうか、手紙の主は。
直接会ったなら…まず何から言うだろう。
夜道の静けさが不安を煽る。
こんな風に歩いていて、あの人の私生活を垣間見た夜、心の奥底で得体の知れない感情が沸き上がった。
気付きたくなくて、そっと蓋をした。
このまま忘れてしまえ、ともう一人の自分が囁く。
最初から自分の物でなければ良いのだ、と。
知らずバックの中の携帯を強く握り締める。
冷たく硬い飾りの猫が、控えめに存在を主張していた。


何本めかのタバコを取り出し、火を点ける。
ロックオンは落ち着きなく何度も立ち位置を変え、人待ち顔でうろついていた。
相手に会いたいという意思だけは伝えた。正直まだ少し戸惑いもあるが。
駐輪場の隅に佇む友人を心配してか、はたまた野次馬根性か、アレルヤは数歩離れた場所で様子を伺っている。

「少し、落ち着いたら?」
「うるさい」
「来るのかな?」

静まり返った夜の空間にアレルヤの問いが響く。
逃げ道を探っていると言われようと、今は新しく開かれる道しかない。
現れなければそれでもいい。
行動しなければ何も始まらないのだ。
そう言い聞かせ、覚悟を決めた。


マンションの入口で、ティエリアは駐輪場に向かって目を凝らした。
暗闇の中でゆらゆら揺れる影が見える。
本当にいるのか、たまたま別の住人が居合わせているだけなのか判別しかねる。
静寂を破って、携帯が着信を告げた。
影がこちらに注意を向ける。
塞がった手で対応しようとして無理な姿勢になり、ビニールの袋から溢れた缶詰が一つ、足元を滑り落ちて転がって行く。
屈んだ姿勢のまま夢中で追いかけた。
駐輪場の奥へと。
伸ばした腕より先に、横から伸びた他人の腕が缶詰を拾い上げる。

「はい、どうぞ」
「ありが…」

視線を上げた瞬間、続く言葉を飲み込んだ。

「前にも見掛けたけど、ここに住んでいたんだね」

『あの人の友達』が、穏やかな表情でティエリアを見ていた。
差し出された掌に乗った缶詰を受け取ろうと身を乗り出す。
彼の肩越し後方に別の影が見えた。
『あの人』だった。
何故彼らがここにいるのかと問えば、住人なのだから当り前だと返答が返ってくるだろう。
一度止んだメロディが再び流れだした。
弾かれたように我に返り、慌ててバックに手を突っ込む。開かれたディスプレイ画面に浮かび上がった文字は。

「刹那…?」

心なしか声がうわずる。
視線が痛かった。
電話の向こうの人物と話している間、あの人はティエリアの手元を凝視していたのだ。
刺すような視線で。
会話を終え、携帯を閉じるとアレルヤの手の上の落し物を思い出す。
彼は苦笑いを浮かべていた。
背後から感じる痛い程の視線を受けて、自室へと急いだ。


自動ドアが開く。
ティエリアが店外へと出て来た。
緑の瞳が標的を定め、真っ直ぐに近付いて来るのが分かった。


ロックオンはあの時、彼女の携帯からぶら下がる物体を見た。
花火大会の日、手紙の相手への土産にと選んだ物と同じだった。
誰でも購入する事は可能だが、彼女はあの時間バイトをしていた。会場には行っていない。
アレルヤは同じマンションに住んでいた事を知っていた。
そして深夜の駐輪場に現れた。
それは、つまり。
確かめなければいけない。
今朝読んだ手紙には、バイト先でキャットフードを安く大量に仕入れたから、会えたら渡したい、と書いてあった。

「君、だったのか?」

掠れた声音が、真実を求めていた。

「猫の手紙は、君だったんだろう?」

今度は確認だった。
思いもよらなかった正体に、上手く言葉を繋ぐ事が出来ない。

「…忘れ物だぜ」

照れくさそうに言うロックオンの手には、昨夜ティエリアが落として行った缶詰があった。
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▼No title
ををををををを!!!
お待ちしていましたっ(*≧▽≦*)
読ませて頂きながら、物語の中の彼らの純粋な心象に、思わず舞い踊ってしまいそうです☆
好きです~!わーい!

今回は難産されたご様子。
そんな中でも真摯に作品と向き合われた事が、文面からもお察しできますから、焦らないでくださいね。
いよいよ最終回。
手に汗握って、ワクワクしながらお待ちしています♪
ゐを裡 2008/08/19(Tue)【05:09】 編集
▼またまた、ありがとうございます
大変お待たせいたしました。
今回は、お盆休みボケで何回か書き直し、ようやく出来上がったものです。
お優しいお言葉をいただけて、ホッとしております。

ラストは二人+おまけで、のんびりとした雰囲気で締めたいと考えています。
この話は一応ジャンルとしては、少女漫画風ラブコメ(どこが?)なので、皆さんとっても純粋な青少年!(笑)
実際書いていても楽しいですしね~。
感想いただけるのも本当に嬉しいです。

まだまだ色々エピソードを考え中ですので、宜しくお付き合いくださいませ。
管理人です 2008/08/19(Tue)【23:36】 編集
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プロフィール
HN:
   あかり
性別:
非公開
職業:
   猫好き
趣味:
   読書、ものを作ること
自己紹介:
ガンダムOOのパロディ小説がメイン。
基本はロックオン×ティエリア、甘くはないです。
更新はマイペース。気長にのんびり、大きなお心でお付き合い頂けると嬉しいです。
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