ガンダムOOの二次創作(小説)サイトです。基本はロクティエ。迷い込まれた方は速やかに、回れ右!をお願いします。
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猫話、突発番外編。
アレルヤの番外編が進まないので、気晴らしに(笑)
↑ これは、アレルヤから見た二人の総集編と、ロックオンとの出会いや過去など。
で、この話で、ようやく続編につながります(本当は上の話が先)。
両方で、一部から二部への間の繋ぎ的なお話です。
ってな具合で、どうぞ。
アレルヤの番外編が進まないので、気晴らしに(笑)
↑ これは、アレルヤから見た二人の総集編と、ロックオンとの出会いや過去など。
で、この話で、ようやく続編につながります(本当は上の話が先)。
両方で、一部から二部への間の繋ぎ的なお話です。
ってな具合で、どうぞ。
「鳥肉は細かく刻んでザルで茹でる…キャベツは、えーと」
調理台の上に並ぶ器具と食材は、一見普通に人間用の食事を作っているように見えた。
既に火を通し、すり鉢でペースト状にされた赤っぽい物。人参だろうか。
更に、しんなりしたキャベツも同じ運命を辿りそうな気配がしている。
「なぁ、何を作ってるんだ?」
「え!?あ、ロックオン…」
本を片手に四苦八苦しているティエリアは、背後に近付く人の気配にも気付かなかったようだ。
振り返った手元がかなり危なっかしい。きっと、こういう事に馴れてはいないのだろう。
台所はそこそこの広さで物は揃っているが、使い込まれている形跡は感じられない。
「すみません。もう少しそちらの部屋にいてください」
体よく追い払われ、仕方なくといった顔で、ロックオンはしぶしぶ和室に戻る。
猫は相変わらず我が物顔で部屋の真ん中を独占していた。
心なしかふっくらとしてきたお腹を撫でながら、一人ぼやく。
「お前のご主人は、何してんだろうな...うん、お前太ったか?」
初めて見つけた時はずいぶん痩せこけて貧相な体つきをしていたが、今では一回りはゆうに大きくなった。
子猫だから食欲も旺盛で成長も早い。大事にされているのも事実だろう。
「なあ、ティエリア。こいつの名前、決まったのか?」
「え、何ですか!?」
何気なく呟いた声は思ったより響き、だが内容までははっきりと聞こえなかったのか、大声で確認の返事が返ってくる。
ロックオンは、もう一度繰り返そうとして止めた。
一方のティエリアは、小皿の上に元の形が分からなくなる程潰された野菜と、微塵切の肉を盛り付けていく。
仕上げに鰹ぶしとオリーブオイルを振り掛け、手元の本に掲載された写真と見比べて、満足そうな顔で頷いた。
「出来ました!」
「あ、そう。で、何なの、それ?」
「その子のご飯です」
「へ?」
訝しがるロックオンに、説明の代りにティエリアが掲げて見せたのは、一冊の本だった。
゛猫の手づくりご飯゛
なんでまた、突然そんな物、という疑問が浮かぶ。
世間一般でいうところの、彼氏彼女の関係(?)の自分にさえ、彼女はまだ手料理など食べさせてくれた事はないというのに。
俺は猫以下かよ。
心の中で突っ込みながら、美味しそうに皿の中身を貪る猫を恨めしげに眺めた。
「で、人間さまの飯は?」
「忘れてました」
気を取り直して話題を変えてみれば、返ってきたのは冷たい一言。あっさりと言い切られ、あからさまに項垂れて見せた。
「嘘です。ちゃんと用意してますよ」
「ティエリア、これ…」
「うちの店が今度売り出した、新作のお弁当とお茶です」
美味しいですよ、とニッコリ微笑みながらカップにお茶を注ぐ彼女の幸せそうな様子に、ロックオンは言い掛けた言葉を飲み込むしかなかった。
最近のコンビニ弁当は確かに侮れない。差し出されたそれも、見た目は実に食欲をそそる代物だった。
料理をするには時間も手間もかかる上に、経済面でもさほど節約効果はない。栄養面を考えるなら、やはり自炊も重要だろうが。
部屋の中は年頃の女の子にしては殺風景。普段の会話などからもあまり物欲が感じられない。執着もない。
総じて生活感が希薄。
そんな彼女が珍しく没頭していることと言えば。
「その本、どんなことが書いてあるんだ?」
「結構、面白いです」
「どれどれ...」
テーブルの片隅に置かれた本に手を伸ばし、ロックオンは行儀悪く食事を始めた片手でページを捲り始める。
「子猫は離乳期までに食べ物の好みが決まるので、手作りごはんを食べさせるなら生後6か月くらいまでに。十分なエネルギーをタンパク質を多めに与えること。与えてはいけないのは、ねぎや玉ねぎ類、チョコレートなどの菓子類。水は砂漠の生き物なので大量には必要ありませんが、少なすぎてもいけません。常に新鮮なものにこまめに換えること」
声に出して読むと、結構役に立つ事も書いていそうだが、基本的に大雑把なロックオンには不必要にも思える。
すぐに、パタンと閉じた。
「なんつうか、面倒くさいんだな」
「生き物ですからね。ぬいぐるみや玩具とは違います」
「何を好き好んで、そんなやっかいな生き物...」
「貴方だって、野良猫を拾うくらいはしたじゃないですか」
「まあな。放っとけなかったから…家族とはぐれて一人ぼっちか、と考えるとな」
「ロックオン…?」
急に黙り込んだ陽気な男の変貌に、ティエリアは不安を感じた。
友人も多く周囲は何時も賑かだと聞いていた。現在は一人暮らしだが、本来は五人家族で、実家は中流家庭以上だとも。
それを教えてくれたアレルヤは、二人が付き合い始める時、気になるセリフを言っていたような気もするが。
「家族と仲良く出来ないのは、辛いよな...」
ポツリと囁かれた言葉。これがこの人の本音。真実?
家族と折り合いが悪かったりするのだろうか。
ティエリアが恐る恐る口を開く。
言葉を選びながらも、出来るだけ自分も本当のことを伝えられるようにと。
「見ない振りが出来なかったのは、同じです。私の両親は、うんと昔、子供の頃に死んで、私は一人なんです」
「あの、弟とかは?」
「刹那は、育ててくれた家の、育ててくれた人の、息子さんです。血は繋がっていない」
「そっか。俺は、実の家族だけどな」
本当の家族でも他人より心が遠い関係もある。
育ての親なら尚更なのかもしれない、とロックオンは思う。表面は取り繕えても、違和感は拭えない。お互い割り切れないものもあるのだろう。
なんとなく重なるのだ。この少女が、何時かの自分と。
もっと知りたくて、気がつくと質問攻めをしていた。
「家を出たのは?」
「居場所がなかったからです。義母も刹那も優しいけど、私の家ではない」
「俺も、あの家には居場所がなかったよ。本当の家族だけど。じゃあ、バイトしてるのは?」
「早く、独立したくて。あと、人付き合いに慣れるためにも」
「人づきあいが苦手なんだ?」
「いろいろ、ありましたから」
幼いころから他人の中で大人たちの顔色を伺いながら生きてきたのなら、そうかもしれない。
境遇は違っても、もしかしたら、似た者同士かもしれない自分たち。
「なら、一緒に暮らさないか?」
「それは…」
「経済的にも、精神的にも、そのほうが良いだろ、きっと」
わざと軽い口調で言ったのは、彼なりの優しさかもしれない。
何時の間にかご飯を平らげた猫が、側に身を寄せて毛繕いをしていた。
人間の肌よりずっと高温なぬくもりが、重みが心地よく、素直な気持ちでティエリアは頷いた。
調理台の上に並ぶ器具と食材は、一見普通に人間用の食事を作っているように見えた。
既に火を通し、すり鉢でペースト状にされた赤っぽい物。人参だろうか。
更に、しんなりしたキャベツも同じ運命を辿りそうな気配がしている。
「なぁ、何を作ってるんだ?」
「え!?あ、ロックオン…」
本を片手に四苦八苦しているティエリアは、背後に近付く人の気配にも気付かなかったようだ。
振り返った手元がかなり危なっかしい。きっと、こういう事に馴れてはいないのだろう。
台所はそこそこの広さで物は揃っているが、使い込まれている形跡は感じられない。
「すみません。もう少しそちらの部屋にいてください」
体よく追い払われ、仕方なくといった顔で、ロックオンはしぶしぶ和室に戻る。
猫は相変わらず我が物顔で部屋の真ん中を独占していた。
心なしかふっくらとしてきたお腹を撫でながら、一人ぼやく。
「お前のご主人は、何してんだろうな...うん、お前太ったか?」
初めて見つけた時はずいぶん痩せこけて貧相な体つきをしていたが、今では一回りはゆうに大きくなった。
子猫だから食欲も旺盛で成長も早い。大事にされているのも事実だろう。
「なあ、ティエリア。こいつの名前、決まったのか?」
「え、何ですか!?」
何気なく呟いた声は思ったより響き、だが内容までははっきりと聞こえなかったのか、大声で確認の返事が返ってくる。
ロックオンは、もう一度繰り返そうとして止めた。
一方のティエリアは、小皿の上に元の形が分からなくなる程潰された野菜と、微塵切の肉を盛り付けていく。
仕上げに鰹ぶしとオリーブオイルを振り掛け、手元の本に掲載された写真と見比べて、満足そうな顔で頷いた。
「出来ました!」
「あ、そう。で、何なの、それ?」
「その子のご飯です」
「へ?」
訝しがるロックオンに、説明の代りにティエリアが掲げて見せたのは、一冊の本だった。
゛猫の手づくりご飯゛
なんでまた、突然そんな物、という疑問が浮かぶ。
世間一般でいうところの、彼氏彼女の関係(?)の自分にさえ、彼女はまだ手料理など食べさせてくれた事はないというのに。
俺は猫以下かよ。
心の中で突っ込みながら、美味しそうに皿の中身を貪る猫を恨めしげに眺めた。
「で、人間さまの飯は?」
「忘れてました」
気を取り直して話題を変えてみれば、返ってきたのは冷たい一言。あっさりと言い切られ、あからさまに項垂れて見せた。
「嘘です。ちゃんと用意してますよ」
「ティエリア、これ…」
「うちの店が今度売り出した、新作のお弁当とお茶です」
美味しいですよ、とニッコリ微笑みながらカップにお茶を注ぐ彼女の幸せそうな様子に、ロックオンは言い掛けた言葉を飲み込むしかなかった。
最近のコンビニ弁当は確かに侮れない。差し出されたそれも、見た目は実に食欲をそそる代物だった。
料理をするには時間も手間もかかる上に、経済面でもさほど節約効果はない。栄養面を考えるなら、やはり自炊も重要だろうが。
部屋の中は年頃の女の子にしては殺風景。普段の会話などからもあまり物欲が感じられない。執着もない。
総じて生活感が希薄。
そんな彼女が珍しく没頭していることと言えば。
「その本、どんなことが書いてあるんだ?」
「結構、面白いです」
「どれどれ...」
テーブルの片隅に置かれた本に手を伸ばし、ロックオンは行儀悪く食事を始めた片手でページを捲り始める。
「子猫は離乳期までに食べ物の好みが決まるので、手作りごはんを食べさせるなら生後6か月くらいまでに。十分なエネルギーをタンパク質を多めに与えること。与えてはいけないのは、ねぎや玉ねぎ類、チョコレートなどの菓子類。水は砂漠の生き物なので大量には必要ありませんが、少なすぎてもいけません。常に新鮮なものにこまめに換えること」
声に出して読むと、結構役に立つ事も書いていそうだが、基本的に大雑把なロックオンには不必要にも思える。
すぐに、パタンと閉じた。
「なんつうか、面倒くさいんだな」
「生き物ですからね。ぬいぐるみや玩具とは違います」
「何を好き好んで、そんなやっかいな生き物...」
「貴方だって、野良猫を拾うくらいはしたじゃないですか」
「まあな。放っとけなかったから…家族とはぐれて一人ぼっちか、と考えるとな」
「ロックオン…?」
急に黙り込んだ陽気な男の変貌に、ティエリアは不安を感じた。
友人も多く周囲は何時も賑かだと聞いていた。現在は一人暮らしだが、本来は五人家族で、実家は中流家庭以上だとも。
それを教えてくれたアレルヤは、二人が付き合い始める時、気になるセリフを言っていたような気もするが。
「家族と仲良く出来ないのは、辛いよな...」
ポツリと囁かれた言葉。これがこの人の本音。真実?
家族と折り合いが悪かったりするのだろうか。
ティエリアが恐る恐る口を開く。
言葉を選びながらも、出来るだけ自分も本当のことを伝えられるようにと。
「見ない振りが出来なかったのは、同じです。私の両親は、うんと昔、子供の頃に死んで、私は一人なんです」
「あの、弟とかは?」
「刹那は、育ててくれた家の、育ててくれた人の、息子さんです。血は繋がっていない」
「そっか。俺は、実の家族だけどな」
本当の家族でも他人より心が遠い関係もある。
育ての親なら尚更なのかもしれない、とロックオンは思う。表面は取り繕えても、違和感は拭えない。お互い割り切れないものもあるのだろう。
なんとなく重なるのだ。この少女が、何時かの自分と。
もっと知りたくて、気がつくと質問攻めをしていた。
「家を出たのは?」
「居場所がなかったからです。義母も刹那も優しいけど、私の家ではない」
「俺も、あの家には居場所がなかったよ。本当の家族だけど。じゃあ、バイトしてるのは?」
「早く、独立したくて。あと、人付き合いに慣れるためにも」
「人づきあいが苦手なんだ?」
「いろいろ、ありましたから」
幼いころから他人の中で大人たちの顔色を伺いながら生きてきたのなら、そうかもしれない。
境遇は違っても、もしかしたら、似た者同士かもしれない自分たち。
「なら、一緒に暮らさないか?」
「それは…」
「経済的にも、精神的にも、そのほうが良いだろ、きっと」
わざと軽い口調で言ったのは、彼なりの優しさかもしれない。
何時の間にかご飯を平らげた猫が、側に身を寄せて毛繕いをしていた。
人間の肌よりずっと高温なぬくもりが、重みが心地よく、素直な気持ちでティエリアは頷いた。
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プロフィール
HN:
あかり
性別:
非公開
職業:
猫好き
趣味:
読書、ものを作ること
自己紹介:
ガンダムOOのパロディ小説がメイン。
基本はロックオン×ティエリア、甘くはないです。
更新はマイペース。気長にのんびり、大きなお心でお付き合い頂けると嬉しいです。
基本はロックオン×ティエリア、甘くはないです。
更新はマイペース。気長にのんびり、大きなお心でお付き合い頂けると嬉しいです。
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