ガンダムOOの二次創作(小説)サイトです。基本はロクティエ。迷い込まれた方は速やかに、回れ右!をお願いします。
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二期情報がチラつき始めた今、これを書くのは非常に間抜けな気がしてきましたが...(笑)
まあ、本編設定ベースの別もんだから。
一応注意書。
アレルヤは一切出てきません。行方不明です。
刹那はラストにチラッと。
主人公=ティエリア、ヒロイン=フェルト、くらいな気持ちで読んでください。
ティエリアは人間で性別不明、というかストーリィに関係ないのでスルーです。
そして、あの人(ロックオン)は、大変な事になっております。
以上、OK?
――どちらを選ぶのも自由だ――
提示された二つの契約内容。
一つは、普通の人間のまま過去を封印し、名を変え、新しい人生を計画の為に生きること。
そして、もう一つは…全てを、『人間』である事を放棄すること。
何故、自分が後者を選んだのかはわからない。忘れてしまったのだ。
本当の自分が何処で生まれ、何という名で、どんな人生を生きて来たのか。
何もない。ゼロからのスタートだった。
自分自身と引き換えに与えられたのは、特殊な能力と権限。
チームの中でたった一人許された、特別な存在。
それこそが存在意義だと思っていた。
※
一度は壊滅状態にまで陥った組織も、何とか今後の見通しが明るい方向へと向かい始めていた。
ヴェーダなしで良くここまで来たと思う。
あの後残ったのは、計画が始動した時の僅か半数にも満たない人数だった。
母艦もガンダムも失った。マイスター達は誰も帰っては来ず、大切な仲間も最後まで戦って散って行った。
深く傷つき、去って行った者もいる。
時は確実に流れた。
整備士の声が響き、金属の擦れる音や火花の散る音が飛び交う中、少女たちの明るい笑い声が聞こえて来た。
続いて、甲高い機械の合成音。
私同様、数年前の戦いを生き残ったメンバー最年少の少女、いや元少女と言うべきか。彼女ももう妙齢だ。
隣には、新しく加わった当時の彼女と同じ年頃の少女が、無邪気な笑顔で並んでいる。
頭上を賑かに飛び回っているのは、ハロだ。
のんびりとはいかないまでも、それなりに平和で暖かな日常。
その陰に隠された、真の目的が、再び動き始める。
『世界がまた何か違う方向に動いている今、我々は当初の目的遂行のため、新たな計画をもって始動します。詳しいお話は近々…そのおつもりで』
エージェントである王留美の無情な言葉で、この生活は終わりを告げた。
忘れていたわけではない。
それこそが本懐。そのために皆で頑張って来たのだ。
「ここにいたの、ティエリア?」
展望台に佇む私に背後から声を掛けたのは、フェルトだった。
吸い込まれそうな程広い深淵の宇宙を背に、ゆっくりと振り返る。
私にとっては、こうしてガラス越しに空を見上げるのは特別な思い出と向き合うひと時。あの人と語った、挫けそうな時幾度も支えてくれた確かな記憶。
「貴方は、働きすぎよ」
やんわりとした口調で諫められる。
言葉とは裏腹に、女性らしい気遣いに溢れた微笑みが私を見つめていた。
あれ程苦手だった筈の人付き合いが、馴染んでしまった今は心地良い。
「皆が戻って来た時に、また計画を実行する時に、地盤がしっかり出来ていなければ何も始まらない」
「信じてるんだ、皆のこと」
「君は、信じてないのか?」
「ううん、信じてる」
お互いの間を過ぎるのは、今は不在な仲間たちの顔。
刹那もアレルヤも、行方はようとして知れない。
だか、彼らは必ず生きている。生きているなら、帰って来る筈だ。
あの人―― ロックオンの心も、共にある筈だと思う。
何故なら、未だだから。
未だ、世界は変わっていない。何も終わってはいないのだ。
フェルトはここ数年間で目を瞠るほどに成長した。
思う事も色々あっただろうに、強くて優しい子だ。
幼い雰囲気のおさげだった髪は一つに纏められ、やや落ち着いて大人びた風情を感じさせる。
年少者に姉のように接する態度は、今は亡き彼女の先輩を彷彿とさせた。
軽い言動が目立っていた操舵士と共に、最期までプトレマイオスを守って宇宙に散った女性。覚悟の足りないまま戦場に立った彼女は、本当に普通の女性で、朗らかで周囲に対する細かな配慮の出来る人物だった。
きっとフェルトの中で、大きく特別な存在となっているだろう。
ロックオンと共に。
「君は、どうして、ここにいる?」
「......ティエリア、は?」
「どうして、だろうな…」
私に過去はない。後悔はしていないつもりだ。
他のメンバー達も様々な事情があって、よくよくの覚悟で計画に臨んだと思う。
過去も立場もバラバラな共通点も何もなかった自分たちに、一つだけ言えるのはおそらく。
『世界を変える』
変えたい、変えなければならない、ワケがあった。それぞれの胸の内に。
原動力は違っても、思いは同じ。
三人のマイスターも、あの予報士も、きっと。
「私は、ここに来る前の事は覚えていない」
自身の口から出た思ったより柔らかな声に驚いた。何より、身の上話をしている自分に。
より忠実に、確実に任務を遂行するため、自ら過去を捨てた。他には何もなかった。
それが、他の皆とは違う点。
「忘れるのは簡単だ。人は嫌な事は忘れて消し去る。そうしなければ進めない」
「私は覚えてる。幼い頃、死んだパパとママの事。忘れない。二人が組織のために命を捨てたとしても、忘れたくない」
「…そうか」
「以前の貴方が、忘れたい、捨てたいだけの過去しかなかったのなら、とても哀しい…」
「大丈夫だ。忘れてはならない事もある。それがわかった。次はもう間違えない」
あの過ぎた日々は、私に残されたたった一つの過去。
辛い現実もあったが、忘れたくはない。忘れてはならない。
生きるために不要なものだと思っていた。
だが、心の中に刻まれた記憶という形ないものに守られ、背中を押されているのも、事実なのだ。
人間の感情や思考。
コンピュータの中に人為的に書き込まれた、情報と記号の羅列、”記録”とは別な物。
私は人間だから。
完璧でなくともいい。不完全で構わない。
あの人が教えてくれた。
「ティエリア・アーデ。あなたに、お話があります」
一人だけ呼び出しを受けた事に、妙な胸騒ぎを感じた。
世界は望んでいたのとは違う方向に進んでいる。
このままでは、あの戦いが、犠牲が、全て無駄になってしまう。
人知れず広い宇宙の片隅で来たるべき瞬間を待ち構えていた、巨大な兵器が再び沈黙を破る時。
願わくは来て欲しくない時を迎える。
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基本はロックオン×ティエリア、甘くはないです。
更新はマイペース。気長にのんびり、大きなお心でお付き合い頂けると嬉しいです。
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