忍者ブログ
ガンダムOOの二次創作(小説)サイトです。基本はロクティエ。迷い込まれた方は速やかに、回れ右!をお願いします。
[47]  [46]  [45]  [44]  [43]  [42]  [41]  [40]  [39]  [38]  [37
×

[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。



まとめサイトがほぼ形になって来ました。
バナーとか作るのに、久しぶりにフォトショップを起動したら...なんか警告メッセージが出てくる(汗)
次は、猫話16話かな。
雨が降る、7話はちょっと中途半端だったのと短かったので、付け足そうと思います。



猫話、第15話。
ティエリアの過去を匂わせておいて、で2部までひっぱる...本編なみに嫌な奴!

猫と花火

「こんな日に、バイトか?」

ハッとして、顔を上げると、あの人がいた。
今夜は花火大会だ。
浮かれるバイト仲間に頼まれて、シフトを交代した。
どのみち一緒に行く相手もいないのだ。人の多い場所も苦手だし、ちょうどいい。

「私には、お祭りも関係ありませんから」

そうか、という溜め息まじりな声とともに、白い腕が伸びる。
ティエリアが補充していた棚の商品を掴み、籠に投げ込んだ。
見れば、アルコールとつまみ系の乾物、揚物といったものばかりで、食事になりそうなものはない。
訝しがる目付きに気付いたのか、苦笑いを浮かべる彼は頭を掻いた。

「友人と花火見に行くんだ」
「そうですか。…楽しんで来てください」
「…ん。有難う。君も頑張れ」
「はい」

ちゃんと会話が出来たという事実に、二人は同時に胸を撫で下ろす。

自動ドアが開き、男は去って行った。
彼は花火を共に見る人がいるのだ。
数日前偶然目撃した光景が蘇る。
少し若い気もしたが、お洒落な女の子だった。自分とは違う、いかにも『守りたい』タイプ。
彼らは仲良く寄り添って、夜空に咲く大輪の光の花を見上げるのだろう。
想像しただけで、胸がチクリと痛んだ。

あの夜遅くに帰って来た猫の手紙を読んだティエリアは、思い切って刹那にメールをした。
すぐに返信が来て、暫く夢中になってやり取りを続けた。
花火大会の事、学校での事、猫を拾った経緯、手紙の事からバイト先での話。
そのうちメールではもどかしくなり、今度は電話で話そうと約束して終了した。
ティエリアを訪ねて来た日も夜通し語ったのに、今一歩踏み込めない壁があった。
直接でなければすんなり言いたいことが言える。
まだだ。まだ、自分は...。

気が向いたら、夏休みの間に帰って来い…

逃げるように遠くの専門学校を受験した。以来、地元には帰っていない。
帰れない。
新しい地にも馴染めない。友人も出来ない。

自分の居場所が何処にもない気がして、店の隅で仕事をしているふりをして蹲った。

刹那が悪いんじゃない…
だから、そんなに気を使わないで欲しい。

ドアが開き、ガヤガヤと複数の足音がなだれ込む。
閉まるまでの僅かな時間、遥か遠くに消え入りそうな程控え目な、夜花の開く名残が聞こえていた。
ドォオン、と鈍く響く。
音が鳴る度、心が揺れた。


花火もとっくに終了した頃、ティエリアは自宅マンションへと急ぐ。
猫が来ているかもしれない。
部屋の前で大人しく待つ姿を想像しただけで、気が急く。
郵便受けを覗いても、入っているのはダイレクトメールのみ。
待ち遠しい便りは郵便配達人ではなく猫が運んで来る。
階上へ駆け上がると、各部屋に伸びる通路を白と黒の毛だまがティエリアに向かって突進して来るのが見えた。
屈みながら両手を差し出し、小さな身体を難なく受け止める。


「ほら、ロックオン…しっかりして。もう、こんなになるまで飲むなんて…」

背後から聞こえた情けない男の叫びに、息を飲んだ。
PR


Comment 
Name 
Title 
Mail 
URL 
Comment 
Pass   Vodafone絵文字 i-mode絵文字 Ezweb絵文字


カレンダー
10 2024/11 12
S M T W T F S
1 2
3 4 5 6 7 8 9
10 11 12 13 14 15 16
17 18 19 20 21 22 23
24 25 26 27 28 29 30
プロフィール
HN:
   あかり
性別:
非公開
職業:
   猫好き
趣味:
   読書、ものを作ること
自己紹介:
ガンダムOOのパロディ小説がメイン。
基本はロックオン×ティエリア、甘くはないです。
更新はマイペース。気長にのんびり、大きなお心でお付き合い頂けると嬉しいです。
最新コメント
[03/29 管理人です]
[03/29 らいむ]
[08/31 管理人です]
[08/31 ゐを裡]
[08/19 管理人です]
バーコード
ブログ内検索
フリーエリア
カウンター
カウンター
忍者ブログ [PR]