接続が悪い

エラーの多いサーバーなのか、時間帯が悪いのか...。
更新に影響するのは、困りもの。
接続できなかったり、入力途中で送信されたり、入力した文字や画面が突然消えたり、入力できなくなったり。
更新途中で訪問された方には、大変お見苦しい状態をお見せしてることもあるのでは？
ま、あとから細かく修正入れたりもしてますが（苦笑）


猫話、弟１１話。
予定話数を完全に超えましたが、これから山場です。

猫と女

「お疲れ様でーす」

時刻は２１時、土曜日の夜だ。
ティエリアはコンビニのバイトを終えて、家路を急ぐ。
部屋で帰りを待つあの子は、今日は昼過ぎに出掛ける自分と入れ替わりに戻って来た。
生活サイクルが不規則ではあるが、ほぼ毎日二つの部屋を往復しているように思う。
向こうの部屋ではどう思われているのだろう。
仮にも社会人だ。迷惑になっていなければいいが。
手紙の文面を読む限りでは、この状況をゲーム感覚で楽しんでくれているようにも見受けられる。
もともと始めたのもあちらの方からだった。
猫は互いの部屋を行き来する度、相手方から持たされる手紙を運ぶ役割を果たしている。
まるで伝書鳩ならぬ、伝書猫。猫の郵便屋といったところか。
きっと本人（猫）はそんな事に使われているなどとは、知らないだろう。
首輪に触れても不快そうではなく、逆に喉を伸ばして撫でられるのを気持ち良さそうにしている。
帰ったらまず、お昼に受け取った手紙の返事を書こうと、一日を振り返った。
何時の間にか日記のようなやり取りが自然になっていた。
学校（仕事場）でのちょっとした事、猫の話、友人の話など、相手の顔が見えないからこそ…という感覚。
ふと、便箋を切らしていた事を思い出す。
店を出る前に購入するつもりが、すっかり忘れていた。
悩んだ末、結局反対方向にある別のコンビニへと足を向けた。
あそこはペットフードは今一つ品薄だったか。その分、食料関係と雑誌関係は力が入っている。
記憶の中にあるデータを探り、ついでに買い足す物まであれこれ計算して脳内でメモする。
自動ドアが開き、夏の暑さを物ともしないひんやりとした空気が流れ出て歓迎してくれた。
この季節、客商売の空間はきっと何処でも冷房が効いている。自室より快適だ。
快適すぎて長居する客もいるくらいなのだから。
商品の配列は何となく把握しているので、ためらう事なく事務用品コーナーを見つけた。

買い物袋を下げて店を出る。
今度こそと、マンションへの道程を踏み出した。
前方から、数人の男女が会話を弾ませながら駅に向かって歩いて来るのが見えた。
若い男性二人と、着飾った女性、というより少女二人。
折角の週末の夜だ。これから遊びに繰り出す人もいるだろう。
自分は部屋へ戻って、簡単な夜食を済ませ、寝るだけだ。
擦れ違いざま、明るい髪色の少女からフンワリとした甘い香りが漂った。
匂いに誘われ、通り過ぎた後を振り返る。

そこにいたのは…。

男二人は、頻繁に見る巻き毛の男性と一度だけ見た友人。連れの女性二人は、当然初めて見る顔だった。
あちらは話に夢中でティエリアなど眼中にない。
そういえば、今日は店に来なかった。
一方的な会話は仕事の邪魔に感じるが、ないと物足りない気がするから不思議だ。
現れなかったのは、デートだったからか。
取り残されたティエリアは、内側から込み上げてくる正体不明の何かを飲み込んだ。
苦い味の意味を彼女は知らない。

肩から下げたバックの中で、控えめなメロディが白々しく流れているのも聞こえてはいなかった。

当り前だけど、あの調子のいい男には隣りに並ぶ存在がいたのだ。
自分の事は、買い物に来るついでの社交辞令のようなものだった。
外気の暑さとは逆に冷えていく身を感じた。