ガンダムOOの二次創作(小説)サイトです。基本はロクティエ。迷い込まれた方は速やかに、回れ右!をお願いします。
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とりあえず、二人が出会ってキリがつくまで一気に、こっちを優先。
猫話、3話です。
猫話、3話です。
彼女と猫
「いらっしゃいませ~!!」
マニュアルどおりの明るく元気な声が響く中、ロックオンはゆったりと店内に踏み入れた。
幾つかの棚を見て回ったところで、ようやく目的の品を見つけ、立ち止まる。
そこに並ぶ多種多様な商品――ペットフードを見て、思わず絶句した。
なんで、こんなに種類があるんだ?
何時も立ち寄る駅からマンションまでの間にあるコンビニでは、ペットフードは殆ど扱っていなかった。
いや、正確にはあるにはあったのだが、彼の求めるものとは違う犬専用のものばかりで...猫用はまったく見当たらなかったのだ。
仕方なく、反対方向のこの店に足を運んでみれば。
ペットコーナーらしき一角には、確かに犬用品が大半を占めていたが、他店の申し訳程度に存在している猫用のフードに比べ、随分と品揃えが豊富だ。
キャットフードなんてどれでも同じだろうと高を括っていたロックオンは、立ち塞がる大きな壁に頭を抱えるハメになる。
呆然とする彼から少し離れた位置で在庫チェックをしていた定員の一人が、心なしか此方を見ている気がしたが、そんな事に構っていられない。
とりあえず、端から順に缶詰を掴み、張られているラベルに隅々まで目を通す。結果、猫用には(恐らく犬用もだろうが)、年齢的な段階がある事に気づく。
授乳期の母猫用、子猫用、生猫用、シニア用...。
成程、人間でも離乳食から、育ち盛りのカロリー高め、老人用、糖尿病の塩分控えめなど、様々なのだから、犬猫にもそういう分け方があってもおかしくはない。
中には、毛玉がつまらないドライフード、太りすぎな猫用フード、などもあり、笑ってしまう。
「何か、お探しですか?」
成人男がキャットフードを前に真剣に悩んでいる姿を見かねたのか、先ほどから側にいた定員が声を掛けてきた。
「ええと、猫を拾っちまったんだけど、まだ子猫で、歯はありそうだし...う~ん、あんたさぁ、これどっちが美味と思う?」
子猫用と書かれた缶詰2種類をそれぞれ片手ずつに握りしめ、制服を着た人物に向き直った。
途端に、驚きに見開かれた赤色が視界を覆う。
肩くらいの長さで切りそろえられた髪や、ぴっちりと留められたボタン、白い指先の自然色のままの爪、すべてが几帳面そうな人柄を反映しており、とても清潔そうな若い少女だった。
どちらかと言うと、派手に着飾った女としか付きあいのないロックオンには、彼女が随分と幼く見え、逆に自分のほうが驚く。
猫缶を握り締めたまま固まってしまったなんとも間抜けな男の姿に、当の少女は一呼吸置いた後、小さな手で口元を隠しながら、クスクスと笑った。
「あの...え~と...」
「右、のほうが、うちの猫は好きです」
外見から想像するよりやや落ち着いた低めの声が、そう答えた。
「右、ね...ありがとう。君も猫を飼ってるんだ?」
「ええ、でも...うちのは、ついこの間家出しました。まだ帰って来ない...」
「...そっか、早く帰って来るといいな...」
陰りを見せた赤い瞳が静かに伏せられ、籠の中に無造作に幾つかの缶詰を放り込みながら、ロックオンは神妙な面持ちで言う。
自分は偶然道端で足元にじゃれ付いて来た猫を拾って連れ帰ったが、彼女の猫ももしかしたら見知らぬ誰かに連れられて行ったのかもしれない、と思う。
それっきり、視線を棚の商品に戻した彼女の凛とした、だがどこか寂しそうな横顔から、暫く目が離せなかった。
「ありがとうございました~!!」
二人のやり取りなど知らぬカウンターの中の定員が、清算を済ませたロックオンを笑顔で見送ってくれた。
彼女は振り返らなかった。
「いらっしゃいませ~!!」
マニュアルどおりの明るく元気な声が響く中、ロックオンはゆったりと店内に踏み入れた。
幾つかの棚を見て回ったところで、ようやく目的の品を見つけ、立ち止まる。
そこに並ぶ多種多様な商品――ペットフードを見て、思わず絶句した。
なんで、こんなに種類があるんだ?
何時も立ち寄る駅からマンションまでの間にあるコンビニでは、ペットフードは殆ど扱っていなかった。
いや、正確にはあるにはあったのだが、彼の求めるものとは違う犬専用のものばかりで...猫用はまったく見当たらなかったのだ。
仕方なく、反対方向のこの店に足を運んでみれば。
ペットコーナーらしき一角には、確かに犬用品が大半を占めていたが、他店の申し訳程度に存在している猫用のフードに比べ、随分と品揃えが豊富だ。
キャットフードなんてどれでも同じだろうと高を括っていたロックオンは、立ち塞がる大きな壁に頭を抱えるハメになる。
呆然とする彼から少し離れた位置で在庫チェックをしていた定員の一人が、心なしか此方を見ている気がしたが、そんな事に構っていられない。
とりあえず、端から順に缶詰を掴み、張られているラベルに隅々まで目を通す。結果、猫用には(恐らく犬用もだろうが)、年齢的な段階がある事に気づく。
授乳期の母猫用、子猫用、生猫用、シニア用...。
成程、人間でも離乳食から、育ち盛りのカロリー高め、老人用、糖尿病の塩分控えめなど、様々なのだから、犬猫にもそういう分け方があってもおかしくはない。
中には、毛玉がつまらないドライフード、太りすぎな猫用フード、などもあり、笑ってしまう。
「何か、お探しですか?」
成人男がキャットフードを前に真剣に悩んでいる姿を見かねたのか、先ほどから側にいた定員が声を掛けてきた。
「ええと、猫を拾っちまったんだけど、まだ子猫で、歯はありそうだし...う~ん、あんたさぁ、これどっちが美味と思う?」
子猫用と書かれた缶詰2種類をそれぞれ片手ずつに握りしめ、制服を着た人物に向き直った。
途端に、驚きに見開かれた赤色が視界を覆う。
肩くらいの長さで切りそろえられた髪や、ぴっちりと留められたボタン、白い指先の自然色のままの爪、すべてが几帳面そうな人柄を反映しており、とても清潔そうな若い少女だった。
どちらかと言うと、派手に着飾った女としか付きあいのないロックオンには、彼女が随分と幼く見え、逆に自分のほうが驚く。
猫缶を握り締めたまま固まってしまったなんとも間抜けな男の姿に、当の少女は一呼吸置いた後、小さな手で口元を隠しながら、クスクスと笑った。
「あの...え~と...」
「右、のほうが、うちの猫は好きです」
外見から想像するよりやや落ち着いた低めの声が、そう答えた。
「右、ね...ありがとう。君も猫を飼ってるんだ?」
「ええ、でも...うちのは、ついこの間家出しました。まだ帰って来ない...」
「...そっか、早く帰って来るといいな...」
陰りを見せた赤い瞳が静かに伏せられ、籠の中に無造作に幾つかの缶詰を放り込みながら、ロックオンは神妙な面持ちで言う。
自分は偶然道端で足元にじゃれ付いて来た猫を拾って連れ帰ったが、彼女の猫ももしかしたら見知らぬ誰かに連れられて行ったのかもしれない、と思う。
それっきり、視線を棚の商品に戻した彼女の凛とした、だがどこか寂しそうな横顔から、暫く目が離せなかった。
「ありがとうございました~!!」
二人のやり取りなど知らぬカウンターの中の定員が、清算を済ませたロックオンを笑顔で見送ってくれた。
彼女は振り返らなかった。
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HN:
あかり
性別:
非公開
職業:
猫好き
趣味:
読書、ものを作ること
自己紹介:
ガンダムOOのパロディ小説がメイン。
基本はロックオン×ティエリア、甘くはないです。
更新はマイペース。気長にのんびり、大きなお心でお付き合い頂けると嬉しいです。
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