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ガンダムOOの二次創作(小説)サイトです。基本はロクティエ。迷い込まれた方は速やかに、回れ右!をお願いします。
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猫話、第2話。
1話は、ロックオンと猫の出会い、2話はティエリアと猫の出会い。
...第3話は? もちろん、ふたりの出会い。



それでは、どうぞ。




猫と私

「何の声だ?」

絨毯の上に広げた洗濯物を畳んでいた手を止め、立ち上がる。
開け放たれたベランダの窓から、そっと周囲を見回した。二階という高さからでもハッキリと耳に届く、生物の鳴き声。

猫だ…

咄嗟に思い当たる。まだ幼い子猫の声。
以前にも聞いた覚えがあった。
だがそれらしい姿は見当たらない。
一体何処から聞こえて来るのだろう。
あまりにも大きな、必死な訴えを無視する事も出来ず、気がつくとサンダルを引っ掛けて建物の外まで飛出していた。
路上には一台の車。懲りもしない輩の無断駐車。
眉を潜めその物体を睨み付ける。
途端に気付く。
声はそこから発せられているという事に。
しゃがんで下を覗けば、タイヤの影に小さく震える頼りない生物がいた。

ガツガツと差し出された小皿の中身を貪る、痩せこけた身体。
目元はめやにが固まりこびりつき、鼻もグズグズと音を立てている。
結局、降り始めた雨の中、鳴き続けるこのみすぼらしい生物を放置するのは気が咎めて、連れて帰って来てしまった。
タオルで簡単に汚れを拭ってやり、台所の隅に広げた新聞紙の上に小皿に入れたフードを置いた。
少し前、マンションの裏の空き地で見つけた野良猫の親子の為に買った、キャットフードだ。
猫の一家はある日突然、跡形も無く消えていたが。

「よく喰うなあ…」

離乳もまだの赤ん坊かと思いきや、結構しっかりした仕草で、バリバリと硬いフードをかみ砕く。
隣りに並べた別の容器の水をペロペロ舐め始めた。

「明日、病院に連れて行くか…」

確か駅の近くに動物病院があった筈。
狭い1K、家具もあまりない殺風景な部屋。
一人でバイトをし、専門学校に通って細々と暮らしている。
自分以外の存在が珍しく落ち着かない反面、何故だか部屋の温度が僅かに上昇した気がした。

病院から帰って来ると、処方された目薬を片手に奮闘する。

「こら、暴れるな、って」

なかなか、教えられた通りには上手くいかない。
両手を擦傷だらけにしながら、ようやく一息ついた。

「そうだ、お前名前がないな。私か? 私は、ティエリアだ」

奇妙な同居生活が暫く続いた休日、掃除をする為にドアを開けていた。
ほんの十数分ほど、片付けに夢中になって目を離した隙に、猫は出て行ってしまった。
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プロフィール
HN:
   あかり
性別:
非公開
職業:
   猫好き
趣味:
   読書、ものを作ること
自己紹介:
ガンダムOOのパロディ小説がメイン。
基本はロックオン×ティエリア、甘くはないです。
更新はマイペース。気長にのんびり、大きなお心でお付き合い頂けると嬉しいです。
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