ガンダムOOの二次創作(小説)サイトです。基本はロクティエ。迷い込まれた方は速やかに、回れ右!をお願いします。
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午後は凄い雷雨でした。そろそろ梅雨明け?
この時期になると、悪夢が甦える.......、我が家では雷はPCの大敵です!
今後、この話はどんどんシリアスになっていきます。
大丈夫、どんと来い!、な方はどうぞ。
『行って来ます!』
『良い子にするのよ! 先方に迷惑かけないように!』
『わかってるよ!』
ニールはこの日、一人で出掛けた。
数日前から熱を出し寝込んでいた妹と、その妹の風邪が伝染ったのか体調不良を訴える弟と、三人で訪問するのを楽しみにしていた祖父母宅へだ。
父と母が心配そうな笑顔で見送っていた。
弟妹はそれぞれの部屋で寝ていた。
ごく当り前のありふれた日常。家族5人、両親も兄弟も仲が良く、たまに兄弟喧嘩はするが、平均的な普通の一家だ。
長男のニールは、14才。
年に数回、遠く離れて暮らす孫に会うのを生き甲斐としている祖父母をガッカリさせないよう、彼だけでもという両親の願いで、渋々家を出た。
それが、悲劇の幕開けとも知らずに。
彼のみ不在の自宅で、事件が起きた事を知らされたのは、翌日だった。
『君が、この家の長男かい? 今朝方未明、火事の通報で我々が駆け付けた時には…現場は火の海で、焼け跡から両親と妹さんらしき遺体が発見されたよ』
公安所の役人の声が、まるで人事のように脳の奥で木霊していた。
たった一日留守にした自宅は、見るも無惨な残骸と成り果て、脇道にビニールシートを被せられて横たわる三人の変わり果てた姿があった。
声も出せず泣き崩れる少年を、役人は痛ましげに見つめる事しか出来ない。
『弟は!? ライルは何処だ!?』
突然叫び出し、焼け跡に踏み込もうとするニールの腕を、役人は慌てて掴んだ。
『弟さんは、まだ発見出来ないんだ…』
大人の力で背後から羽交い締めにされ、ひたすら両手を振り回し逃れようと暴れる少年は、狂ったように家族の名を呼び続けた。
「兄さん、元気…そうだな…安心、したよ」
「喋らなくていい」
数年を経て再会した弟は、変わらず穏やかな口調で自分を屈託なく「兄」と呼ぶ。
ティエリアは薬を買いに出ていた。
二人きりで話がしたかったわけではない。彼女に見せたくなかったのだ。
ライルの背中には無数の拷問を受けたらしき皮膚の抉れた跡があり、表情は憔悴しきっていた。
少なくとも一月ぐらいは監禁されていたのではないか。
見る見る呼吸が荒く、不規則になっていく。
ティエリアの前では無理をして笑って見せ、何とか宥めて使いに行かせたが、そろそろ限界だろう。
止血は出来ても、傷口から全身に回り切った毒は最早手の施しようがない。
せめて、最期は自分が看取ってやりたい。
夢にまで見た再会がこんな結末を迎えるなど、皮肉というより他なかった。
「兄さん、頼みが…あるんだ…俺の左目、義眼なんだ。中に…俺がこの数年間してきた、仕事や...父さんの無実の…」
苦しい息の中、伝えたい言葉を慎重に選びながら、口を開く。
ライルの瞳は自分と同じ緑色。彼こそが、「凄腕の暗殺者ベリル」なのだと、嫌でも気付かされた。
聞きたいことは沢山あったが、最後の一言に全てが吹っ飛んだ。
思いもかけなかった弟の言葉に、ロックオンは目を剥く。
「守って、やって…俺の、二つの、赤い...宝石…」
事件の後、人づてに聞いた、公安局調査員一家惨殺事件。
犯人は若い夫婦と幼い少女を殺害し、家に火を放った。そのまま逃走し、その後の足取りは掴めない。
噂で囁かれたのは、亡き父が当時世間を騒がせていた国際的犯罪組織と癒着し、仲間割れもしくは口封じの為殺害されたらしいとの推測。
そんな筈はない、とニールは思う。
父は冤罪ではないか。人一倍正義感が強く、自らの仕事に誇りを持っていた男だったのだから。
一家を手に掛けたのは、金で雇われたプロの暗殺者だった。
面倒を見てくれた祖父母は、全て忘れて新しい人生を生きろと諭したが、彼はあえて復讐の道を選んだ。
元々得意だった射撃の腕を頼りに、暗殺者ロックオンとなる。
こんなことをしても失われた物は還っては来ない。理性ではわかっていても、心が納得しない。
何時か真実に辿りつけるのではないかという、淡い期待を抱き、彼から全てを奪った家族の敵を求め続ける。何処かに影で糸を引く人物の存在がある、と確信して。
その一端が、今、手のうちに転がり込んで来た。
身が震える。腹の底から湧きあがってくる憤りと、どこまでも残酷な運命に。
彼が長い年月追い続けていたものは、同じくらいに希求していた別の者によってもたらされ、またこの手に掴んだはずの大切なものと引き換えにされた。
硬い表情を崩さないままの女将に引き留められ、フェルトは店の入り口で一瞬躊躇した。
昨日の今日で、少女に一人で外を歩かせるのは気が進まないと言う。
アレルヤが付き添うと申し出たが、彼には店にいてもらわなくては、何時何時事態が急変するかわからないのだ。
「大丈夫です、すぐ其処までですから」
距離にすれば決して遠くはない道のり、これまでにも何度か出向いている出入りの商家までのお使いだ。
女将の心配を努めて元気な素振りで返し、フェルトは店を出ようとした。
その矢先、小柄な男性とぶつかり、軽くよろめく。
外見とは裏腹に逞しい腕に抱きとめられながら、相手の顔を確認した。
「あなたは...」
「出かけるのか? 一人じゃ危ない。護衛ぐらいしよう」
刹那、と女将の幼馴染が紹介した、あの少年公安官だった。
公園の石畳を二人並んで歩く。傍から見れば、仲の良い年頃のカップルだ。
刹那は口数こそ少なかったが、女性に対しての態度はきちんとしており、時折ふと見せる緩んだ表情が年相応に感じさせ心慰められた。
辛い出来事ばかり続きすっかり沈んでいた気持ちが、僅かに上昇していく。
「今日は、本当にありがとう。あの、飲み物でも買って来ます、待ってて」
「そんなことは...」
自分が、と言いかけた刹那の手をやんわりと制し、フェルトは「お礼だから」と、笑った。
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非公開
職業:
猫好き
趣味:
読書、ものを作ること
自己紹介:
ガンダムOOのパロディ小説がメイン。
基本はロックオン×ティエリア、甘くはないです。
更新はマイペース。気長にのんびり、大きなお心でお付き合い頂けると嬉しいです。
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