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ガンダムOOの二次創作(小説)サイトです。基本はロクティエ。迷い込まれた方は速やかに、回れ右!をお願いします。
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中身も大分溜まってきたので、まとめサイトを作成中。
問題は、さて、どこのサーバーにアップしようか色々模索しています。(笑)

雨が降る、ですが...
今回は注意書きが必要、第一弾!(もっと凄い展開が今後ある?)


ティエリア×●●● ティエリアがロックオン以外の男と18禁関係がある、という描写があります。
第5話は、ティエリアの過去を一部。
次の第6話では、いよいよロックオンのそっくりさん登場! ティエリアを巡る三人の過去話の始まりです。



それでは、どうぞ。
 



嫌だ、行かないで!
一人にしないで...!

暗黒の渦の中、白い手首の先が伸び凄まじい勢いで引きずられる。
まっ逆さまに落下していく感覚。
立っていたはずの足元が崩れて落ちて、伸ばした手は何も見えない空間を必死に掴もうともがく。

嫌だ…嫌だ…
助けて!

真っ赤に燃え上がる紅蓮の炎の向こうに、絶対的に信頼を寄せる温かい人たちがいた。
ティエリアの悲痛な叫びなど聞こえないかのように、彼らは遠ざかる。
冷たく重くのしかかる人の身体。薄れ行く意識。立ち昇る硝煙。肉の焦げる臭い。
息苦しくて、それらをどけてほしくて、僅かな空間を求めて腕を掲げる。
やがて、別の新たな温もりが自分の伸ばした手を掴んだ。
だが、それも束の間だった。
再び襲い来る、失うという恐怖に日夜身が震える。
ティエリアは走った。走って走って、声を限りに叫ぶ。
長身の男は僅かに振り返ったが、その緑玉石の瞳には彼女の姿は映されていなかった。
ティエリアから目を逸らすと、彼は闇の中へと消えて行った。

「嫌ァーーー!!」

髪に、額に、何かが触れている。細く、長い、決して人目に触れる事を許さない、神経質な指。
冷たい皮に包まれた、体温を感じさせない、懐かしい感触。

ああ、貴方だ…

滑らかな頬を伝う涙を、温かな指が拭った。
再び、まどろみの世界へと意識が沈む。
声が聞こえた。
ゆっくり、お休み、と。
ぼやけた視界に浮かび上がった輪郭は、記憶の中の男と声も顔も同じ。だが、自分に触れる温もりだけが、違っていた。

誰もいない場所で一人膝を抱え、来る日も来る日もただ待つだけの生活が、幼い少女にとって世界の全てだった。
端末のランプが光る度、あの人は出掛ける。
何処へ行くのか、何時帰るのか一切告げず、ただ「行って来るよ」という一言を残して。
真っ赤な瞳を潤ませるティエリアの、癖の無い髪に、白い額に、滑らかな頬に、あっさりとした形ばかりの口付けを落とす。
その首に両手を回して抱き縋ると、彼は満足そうに微笑んだ。
ティエリアを見つめる二つの碧い宝石は慈愛に満ち、同時に形容しがたい程の冷酷さも潜んでいた。
優しさと冷たさの相反するふたつの顔が同居する、不思議な男。
人は彼を、その澄んだ瞳と同じ色の宝石の名で呼んだ。
ベリル――、と。だが本名は知られていない。
出て行くのが突然なら帰って来るのも突然で、彼は自身の気配を決して感じさせない。
肌を合わせる時だけ、汗に混じった男の匂いと、恐らく身体に染み付いてしまっているだろう火薬の燻る匂いがした。
それは、人の死を連想させる。ティエリアの奥に眠る、忘れたはずのあの日の感触。
薄々感づいてはいた。この人の商売。
それは多分ティエリアにも通じるものだ。
実際、銃の扱い方を教えたのは彼だった。あらゆる武器、様々な手口…女である事すらもあの人が教えてくれた。
押し潰されそうな恐怖と孤独も、噎せ返るような血の匂いも。
自分を形どる全てを。
何時もティエリアを抱き締め溢れるほどの愛を注いでくれた、大きな腕はもうない。
帰って来ない。

「…助けて、ヴェーダ…」

目が覚めると、一面に見慣れない天井が広がっていた。
傍らの存在が夢の中の人物と重なる。
ゆるやかなカーブを描いた巻き毛、澄んだ碧い瞳。話すときの口の動き、惚けているようでその実空気の動きにさえ敏感な神経質さ。何から何までそっくりだ。
不自然なのは、頑なに保護し続けた10本の指が無防備に晒されているくらいか。

「気がついたか?」

他人行儀な距離と気遣いに、これは、ロックオンだと気付く。
彼は立ち上がると隣室へと向かい、程なく右手にカップを一つ持って帰って来た。
差し出されたそれを震える腕で受け取る。
口付けようと思うのに、上手く力が入らなかった。

「大丈夫か?」

力強い腕と逞しい胸に抱き留められ、支えられながら、ようやく湯気の立つ液体を喉に流しこんだ。
再びその身をベッドに横たえると、目を閉じる。
細かな仕草までがやはり似ている。胸が痛い。
直視出来ずにわざと視線を外し、両の掌で表情を隠した。
最初は間違いなく、あの人だと思ったのだ。だが直ぐに別人だということが証明された。

「気にせず、ゆっくり休めよ。ここは、俺の住まいだから...」

思いがけない台詞に、ティエリアがピクリと反応する。
思考回路がまだ上手く働いていないのか、言葉の意味は理解できても、彼の心理が読み取れなかった。

「君の部屋、焼けちまったしな。ここなら人の出入りもないし、俺も留守が多いから」

言葉に一々反応し、小刻みに跳ねるティエリアの姿を横目に、ロックオンは中身の残り少ないカップを机に置いた。

「ヴェーダって、誰だ?」
「………… 私を、育てた、人」

長い沈黙の後、ティエリアは答えた。
脳裏に再生されるビジョン。
そうだ、この人は見たのだ。自分が炎の中で、見知らぬ男に銃を突き付ける様を。
ためらいなく、照準を合わせ、引き金を引くのを。
なのに、何も聞かないというのか。

「育ての親か?他に、兄弟は?」
「...いない」
「そうか。君がいなくなって、探している人間は?」
「...そんなの...」

いない、とは言えなかった。
何故なら、あの場でアレルヤとフェルトには聞かれているのだ。自分と対峙した相手が、探した、迎えに来たと言うのを。

「言いたくなければ、無理には聞かないけどな」


「ああ、ロックオン」

アレルヤがその名を呼ぶと、同じくテーブルを囲んでいた女二人も顔を上げた。
プトレマイオスは一昨夜の事件を余所に、普段通り営業を続けている。
先日、例の役人が店を尋ねて来たが、簡単な取り調べだけで引き上げさせた。

「ティエリアは?」
「少し、落ち着いたみたいだ」
「そう、悪いわね。彼女の事…お願いしてもいい?」
「勿論。それより…」

女将は疲れた表情をしている。無理もない。こう立て続けに様々なことが起こったのでは、誰でも神経が衰弱しそうだ。
フェルトも唇を引き結んだまま、喋ろうとはしない。
彼らは、今後の事を話し合っていたのだ。

「営業は、続けられるだけ続けます。また、別の店が襲撃されるかもしれないので、アレルヤは引き続き夜の見回りを」
「...承知しました。で、フェルトの件は?」
「考えます」

火事騒ぎで忘れていたとは言え、あちらもまだ何の解決策も見出せていないのだ。
あの男がただの脅ししか出来ない小物ならいいのだが。

「悪いな、アレルヤ。毎晩は付き合えないかもしれない。今は出来るだけ、あの子を一人にしたくない」

アレルヤは意味ありげなロックオンの言葉に、大きく頷いて見せた。
あの時、彼はロックオンよりも先に現場に駆けつけ、恐らくロックオンよりも多くのものを見て、聞いている。
ティエリアの様子は、尋常ではなかった。
あの正確な構えと、銃の扱い方。
僅か十代の少女では考えられない。
さらに落ち着き払った態度も。
銃声が轟いた直後に気を失ったとはいえ、紛れも無く彼女は人を殺めたのだ。
周囲の人々は、恐怖のあまり取り乱した彼女がパニックを起こし、相手が落としたか何かした銃を奪って必死に撃ったのだろう、と、解釈していた。
事実は、明確な意図を持って行われた殺人だったわけだが。
まあ、あの後の彼女の態度から察するに、やはり人を手にかけたのは初めてだったろう、と思う。


帰り際、アレルヤが小走りに追いかけて来た。
辺りに目を走らせ、誰もいない事を確認してから、その重い口を開いた。

「あの子、僕と同じ組織の人間だよ。奴等が探してたのは、彼女だ」

ロックオンの目が見開かれる。やはり、という気持ちと、何かの間違いであってくれという願いが交錯する。
アレルヤは、大掛かりな暗殺団の一員だった。下っ端の新前で、初めての仕事にしくじり、始末されようとしていたところをロックオンが救った。
それからは心を入れ替えて、堅気(とは言いがたいが)の生活をしている。
アレルヤの言う事が真実なら、宣言どおり、暫くは目を離さないほうがいい。
奴等が簡単に諦めるなどありえないのだから。
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プロフィール
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   あかり
性別:
非公開
職業:
   猫好き
趣味:
   読書、ものを作ること
自己紹介:
ガンダムOOのパロディ小説がメイン。
基本はロックオン×ティエリア、甘くはないです。
更新はマイペース。気長にのんびり、大きなお心でお付き合い頂けると嬉しいです。
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